竜の姿をみた少女21
「おじいさん。もう一つ聞いていいですか」
「改まって、何じゃ」
「おじいさんは、なぜ竜になってしまったのですか」
「さあ・・・なぜ竜になってしまったのだろうね。
わしにも、わからん。神様も、竜になった理由を教え
てくれないのでのぅ」
「奥さまも、竜になったのですか」
「ああ、妻も竜になってしまった。私と妻は、諏訪湖
のほとりで会った。ひとめみただけでおたがいに好き
になり、結婚した。ところが、妻があまりに美しい人
だったので、兄たちがやきもちをやいたのじゃ。そし
て、わしを諏訪湖の深いふちにつきおとしてしまった。
わしは、神様に助けられ、地の国の王子になった。地
の国の生活は、夢のような生活だったが、わしは愛す
る妻のことを忘れることができなかった。わしは、神
様の許しをえて、この村にもどってきた。しかし、妻
はどこにもいなかったのじゃ。わしは、「おっかあ、
おっかあー、どこにいるー。いたら返事をしてくりょー」
とさけびながら、妻をさがしてあるいた」
つづく
「竜の姿をみた少女」、まだまだ続きます。
いずれ本にしたいと思っています。
このつづきは、本ができた時に、公立図書館などで読ん
でいただきたいと思います。
「竜の姿をみた少女」は、みほようこの二冊目の
童話集・「竜神になった三郎」の続編。
- 作者: みほようこ,長野ひろかず
- 出版社/メーカー: 鳥影社
- 発売日: 2004/04
- メディア: 単行本
- クリック: 45回
- この商品を含むブログ (472件) を見る