黄金色のまゆ玉3
そして、なにやら小声でつぶやくと、足早に歩き始
めました。
その早いことといったら。
青年たちは、こんなに早く歩く人をみたことがあり
ません。
青年たちは、たちまち明神さまの姿を見失ってしま
いました。
「明神さまって、足が早いんだね。まるで、氷の
上をすべるように歩いていったよ」
「それにしても、明神さまはどこへ行ったのだろう」
「好きな人のところへ行ったのかもしれないよ」
「ばかをいえ。あんな美しい奥さんがいるのに、明神
さまがそんなことをするはずがないじゃないか」
「じょうだんだよ。じょうだん」
「なにしろあの二人は、うらやましいほど仲がいいか
らね」
「じゃあ、明神さまはどこへ行ったのだろう?」
つづく