守屋山に黄金色の花が咲いた


    守屋山に黄金色の花が咲いた2


少女が明神さまへ千回目のお願いに行った日。
境内の中は、昨夜から降った雪で真っ白でした。
少女は真っ白な雪の上を、神殿にむかって歩いていき
ました。



すると、神殿の方からおごそかな声が聞こえてきまし
た。
「わしは守屋山に住んでいる明神じゃ。
おまえはなんて心のやさしい少女なのじゃ。
おまえが毎日ここへお参りにきていることは、よーく
知っているぞ。



もう千回もここへきたのじゃな。
いろいろつらいだろうが、これからも兄にやさし
くしておやり。
兄はそのうちきっとよくなるだろう」
少女は明神さまにいわれたように、今まで以上に
兄にやさしく接しました。



しかし、心を病んでいる兄には、少女のやさしい
気持など、少しも通じませんでした。
それどころか、兄はいらいらして大声をだしたり、
理由もなく少女にあたりました。
そうかとおもうと、急にふさぎこみ、何日も部屋
からでてこない日もありました。


                     つづく


童話「守屋山に黄金色の花が咲いた」は、みほようこ
の初めての童話集・「風の神様からのおくりもの」に
収録されています。



風の神様からのおくりもの―諏訪の童話

風の神様からのおくりもの―諏訪の童話