守屋山に黄金色の花が咲いた


守屋山に黄金色の花が咲いた3


そんな兄に少女はどう接したら良いのかわからず、
ただおろおろするばかりでした。
心のやさしい少女でしたが、そんなことがたび重
なると、兄をうとましく思うこともありました。
「私は兄ちゃんのことをこんなに思っているのに
・・・。なぜ兄ちゃんは・・・」
少女は心をとざしている兄をみることが苦痛でした。



そんな少女の様子を、明神さまははらはらしながら、
見守っていました。
「少女よ、これくらいの苦しみや悲しみに負けるなよ。
おまえのことは、このわしがしっかり守ってやるぞ」
明神さまは、少女の顔をみるたびに、心の中でそうつ
ぶやくのでした。



                          つづく


童話「守屋山に黄金色の花が咲いた」は、みほようこ
の初めての童話集・「風の神様からのおくりもの」に
収録されています。



風の神様からのおくりもの―諏訪の童話

風の神様からのおくりもの―諏訪の童話