竜神になった三郎11
三郎はひっしで舟をこいできたので、うでが疲れて
いました。
「あーあ」
三郎がせのびをしようとたちあがった時、兄たちは
「それ、今だ」と、目くばせしました。
「えいっ」
兄たちは、三郎を後から力いっぱいおしました。
「あっ」
声をあげた時には、三郎はまっさかさまに湖におちて
いました。
三郎の目にとびこんできたのは、うずをまいている水
面でした。
うずはだんだんに大きく、強くなってきました。
「太郎兄さーん、助けてー」
「次郎兄さーん、助けてくれー」
三郎は、ひっしで兄たちに助けを求めました。
しかし・・・。
兄たちはさっさと舟をこぎ、三郎をみすてていってし
まいます。
「なぜだ」
あんなにかわいがってくれた兄たちが、なぜこんなひ
どいことをするのか、三郎にはわかりませんでした。
つづく
「竜神になった三郎」は、みほようこの二冊目の童話集・
「竜神になった三郎」に収録されています。
- 作者: みほようこ,長野ひろかず
- 出版社/メーカー: 鳥影社
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