竜神になった三郎14
「いやー、困ります。私には妻がいます。私の帰り
を、妻は今か今かと待っています。
私はどうしても家に帰らなくてはなりません」
三郎は大声でさけびました。
しかし、神様は三郎のいうことなど聞いてくれませ
んでした。
そして三郎は、いやおうなしに地の国の王子にされ
てしまったのです。
地の国では、山奥の村ではみたこともない美しい花
が、たくさん咲いていました。
その花のまわりを、赤・黄・紫・白など、たくさん
のちょうが、ひらひらと舞っています。
木の枝では、色鮮やかな小鳥が、チィチィと楽しそ
うにさえずっていました。
三郎のまわりにいる女性は、おっかあのように美し
い人ばかりでした。
食事の時間になると、毎日おいしい料理が、次から
次へと運ばれてきます。
地の国は、楽園そのものでした。
しかし、三郎は毎日妻のことばかり考えていました。
「早く家に帰りたい。おっかあはどんなに心配して
いるだろう」
そう思うと、三郎はいてもたってもいられません。
つづく
「竜神になった三郎」は、みほようこの二冊目の童話集・
「竜神になった三郎」に収録されています。
- 作者: みほようこ,長野ひろかず
- 出版社/メーカー: 鳥影社
- 発売日: 2004/04
- メディア: 単行本
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ー わが家のBlogPet「ryuu」の句 ー