竜神になった三郎15
「どうか妻に会わせてください」
三郎は何度も神様にお願いしました。
「もう少したったらのぅ」
神様はそういうばかりです。
一方、三郎の妻は、いくら待っても三郎が帰って
きません。
「兄さん、三郎がまだ帰ってこないのですが、ど
うしたのでしょうか」
心配になった妻は、兄たちに聞きました。
「三郎はな、町でようたしをしてくるといっとった。
だから、もうすぐ帰ってくるじゃろ。心配ないさ」
兄たちは平然としていいました。
しかし、三郎は帰ってきません。
一日たち、二日たち、三日たっても、三郎は帰って
きませんでした。
「三郎さんはどうしたのかしら」
三郎のことが心配で、妻はいてもたってもいられま
せん。妻は諏訪湖へ行き、朝から晩まで三郎を探し
ました。
でも三郎はみつかりませんでした。
つづく
「竜神になった三郎」は、みほようこの二冊目の童話集・
「竜神になった三郎」に収録されています。
- 作者: みほようこ,長野ひろかず
- 出版社/メーカー: 鳥影社
- 発売日: 2004/04
- メディア: 単行本
- クリック: 45回
- この商品を含むブログ (472件) を見る