竜神になった三郎


   竜神になった三郎15


「どうか妻に会わせてください」
三郎は何度も神様にお願いしました。
「もう少したったらのぅ」
神様はそういうばかりです。


 
一方、三郎の妻は、いくら待っても三郎が帰って
きません。
「兄さん、三郎がまだ帰ってこないのですが、ど
うしたのでしょうか」
心配になった妻は、兄たちに聞きました。



「三郎はな、町でようたしをしてくるといっとった。
だから、もうすぐ帰ってくるじゃろ。心配ないさ」
兄たちは平然としていいました。
しかし、三郎は帰ってきません。



一日たち、二日たち、三日たっても、三郎は帰って
きませんでした。
「三郎さんはどうしたのかしら」
三郎のことが心配で、妻はいてもたってもいられま
せん。妻は諏訪湖へ行き、朝から晩まで三郎を探し
ました。
でも三郎はみつかりませんでした。 


                    つづく


竜神になった三郎」は、みほようこの二冊目の童話集・
竜神になった三郎」に収録されています。



竜神になった三郎 風の神様からのおくりもの (2)

竜神になった三郎 風の神様からのおくりもの (2)