竜神になった三郎16
十年が過ぎました。
ある日、三郎は神様にお願いしました。
「ひとめで良いから、妻にあわせていただきた
い」と。
「おまえがこの国へきてから、十年がすぎた。
いいだろう。おまえの願いを、かなえてあげよ
う。この道をまっすぐ行けば、おまえが住んで
いた村の近くにでるだろう。妻に会ったら、ま
たこの国へもどってくるのじゃよ。わしはおま
えの帰りを、首を長くして待っているぞ」
神様はそういいました。
そして鹿のなまぎもでつくったもちを千枚、三
郎にくれました。
「地上へでるまで、千日かかる。このもちを、一
日一枚ずつ食べなさい。そうすれば、無事に地上
にでることができるだろう」
「神様、ありがとうございます。ではいってまい
ります」
三郎は神様にお礼をいいました。
つづく
「竜神になった三郎」は、みほようこの二冊目の童話集・
「竜神になった三郎」に収録されています。
- 作者: みほようこ,長野ひろかず
- 出版社/メーカー: 鳥影社
- 発売日: 2004/04
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