竜神になった三郎


     竜神になった三郎17


三郎は地の国の人々にもお礼をいうと、自分の
村めざして歩き続けました。
しかし、なかなか地上へでることができません。
三郎は妻に会いたい一心で、休むことなく毎日
歩き続けました。



「この道をまっすぐ行けば、本当に地上へでる
ことができるのだろうか」
「早くおっかあに会いたいな。おっかあは元気
でいるだろうか」
三郎は妻のことばかり考えながら、歩き続けま
した。




地の国をでてから、千日が過ぎました。
「おっ、かすかに光がみえるぞ。とうとう村へ
ついたぞー」
三郎はうれしさのあまり、大声でさけびました。
穴からでると、目の前にはなつかしいたてしな
山がみえました。


つづく



竜神になった三郎」は、みほようこの二冊目の童話集・
竜神になった三郎」に収録されています。



竜神になった三郎 風の神様からのおくりもの (2)

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