竜神になった三郎19
いつ草を刈ったともわからない程、家のまわりは
あれていたのです。
「おかしいな、どうしたのだろう」
家の中へ入った三郎は、驚きました。家の中は、
くもの巣だらけでした。
「おっかあはどこへ行ってしまったのだろう」
三郎は心配になりました。
三郎は、兄たちの家へも行ってみました。
しかし、蛇の姿ではどうすることもできません。
「兄たちがあんなひどいことをするなんて。お
れは兄たちのことを、一度も疑ったことはなか
ったのに・・・」
諏訪湖へつきおとされた時のことが、昨日のこ
とのように思い出されました。
「あれから何年だったのだろうか」
三郎は、そっとつぶやきました。
「アハハ、アハハ」
太郎の家から、笑い声が聞こえてきました。
「兄たちは幸せに暮らしているのだな」
三郎は、笑い声を聞いて安心しました。
つづく
「竜神になった三郎」は、みほようこの二冊目の童話集・
「竜神になった三郎」に収録されています。
- 作者: みほようこ,長野ひろかず
- 出版社/メーカー: 鳥影社
- 発売日: 2004/04
- メディア: 単行本
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