愛犬りゅう「ばいばい、またね」20
「あっ、大好きなハムのにおいがする。うれしいな」
ぼくは、「おすわり」といわれる前に、ぎょうぎよく
あーちゃんの前にすわった。
「あら?今日はちゃんとおすわりができるのね。えら
いね。大好きなハムを食べる時は、ちがうね」
あーちゃんがうれしそうにいった。
その時、どこからか今までかいだことのないにおいが
してきた。
「何のにおいだろう?」
一瞬、そう思った。
しかし、そんなことはすぐ忘れてしまった。
大好きなハムを目の前にして、ぼくはわくわくしていた。
そして、あーちゃんがさしだしたハムを、
何の疑いもなく、ぺろりと飲みこんでしまった。
しかし、飲みこむ時、なんとなくいつものハムとちがう
ような気がした。
気のせいだったのだろうか?
飲みこんでしまった後、なにげなくあーちゃんの顔をみた。
「ああ、うまくいった・・・」
あーちゃんはそんな顔をしていた。
何がうまくいったのだろうか?
つづく