愛犬りゅう「ばいばい、またね」


  愛犬りゅう「ばいばい、またね」28


死ぬまでの15年3ヶ月の間に、ぼくは何度か脱
走した。
自分から脱走したわけではない。知らない間に、
つないであった鎖が切れたのだ。
ぼくは、その偶然のチャンスを、うまく利用した
だけだ。




そのたびに、あーちゃんには心配をかけた。
あーちゃん、何度も心配かけてごめんね。




 「あっ、落ちちゃった・・・」


ぼくがあーちゃんの家にきたのは、生後40
日位。
きて十日位は、あーちゃんと一緒に庭で遊ん
だり、家のまわりを歩いて、歩く練習をした。
あーちゃんの家のまわりは、小さな砂利がし
いてある。




歩くと、足の裏が痛かった。
「なんで、砂利などしいてあるの?」
ぼくはそう思った。
「砂利で、ハイヒールの底がいたんで困るわ」
あーちゃんだって、そういっているのに。な
ぜしいてあるのだろう?


つづく