愛犬りゅう「ばいばい、またね」44
「ボールをはなせば、またボールをとら
れてしまう」
そんな気持の方が強かった。
・・・というのはうそで、あーちゃんの
悲鳴を聞いたら、びっくりして口が硬直
してしまったのだ。
「りゅう、ボールをはなしなさい!!」
あーちゃんが何度もさけんだ。
何度いっても、ぼくがボールをはなさな
いので、おもいあまったあーちゃんは、
左手でぼくの耳を強くひっぱった。
「痛い!!」
「りゅう、私もそれ位痛いの。だからボー
ルをはなして・・・」
それでも、ぼくがボールをはなさないので、
今度はしっぽがちぎれてしまうのではない
かと思う位、ぼくのしっぽを強くひっぱっ
た。
あーちゃんにしてみれば、ひっしだったの
だろう。
そうこうしているうちに、あーちゃんの指
から血がふきだした。
「りゅう、血がでてきたよ。早くボールを
はなしなさい!!」
痛みにたえかねたあーちゃんが、かなきり
声をだしている。
つづく