女神さまとの約束


 女神さまとの約束2


その夜のことです。
「とんとん、とんとん」
だれか玄関の戸をたたいています。
「こんなにおそく、だれだろう? 
しかも、こんな大雪の夜に」
長者とふくは、おもわず顔をみあわせま
した。



「どなたかな?」
長者が、やさしく声をかけました。 
「旅の者です。今晩一晩、泊めていただ
けないでしょうか」
戸をあけると、貧しいみなりの人が立っ
ていました。



女の人は、つぎはぎだらけの着物をきて
います。
女の人は、雪でびっしょりぬれ、寒さの
ためぶるぶるふるえていました。
「寒かったでしょ。さあ、早く中へ入り
なさい」
「ありがとうございます。ほんとうに助
かります」
女の人は、ほっとした顔でいいました。


               つづく



童話「女神さまとの約束」は、信州の佐久
地方に伝わっている「白駒の池」の話をヒ
ントにして、みほようこが書いた物語。