女神さまとの約束


  女神さまとの約束4


「いろいろお世話になりました。大切な
おかあさんの着物、おかりしていきますね」
女の人は、何度も礼をいい、やしきをあと
にしました。
「大雪の夜、あの人はどこへ行くつもりだ
ったのだろう」
ふくは、女の人のことが気になってしかた
がありません。



「貧しいみなりをしていたけれど、女神さ
まのように美しい人だったね。どこのかた
かしら。なくなったかあちゃんに、にてい
たね」
長者とふくは、大雪の夜に泊まった女の人
の話をしました。
二人は、困っている人をみると、知らん顔
ができず、ときどき旅人を泊めてあげてい
たのです。


 
夏のある朝。
「ふく・・・ふくー。早くきておくれ」
ざしきの方から、長者の声が聞こえました。
いそいでかけつけると、長者がたおれてい
ました。
「とうちゃん、どうしたの?」


つづく