女神さまとの約束


  女神さまとの約束26


二週間後。
長者は、すっかり元気になりました。
「ふくさん。明日は、おとうさんを家につれ
ていきます。
今日は、おとうさんとすごす最後の日です。
おとうさんに、爆裂火口跡をみせてあげな
さい」
帰りぎわ、白駒がいいました。



「とうちゃんと暮らすのも、今日が最後か・・・」
そう思うと、ふくは複雑な気持でした。
長者とふくは、硫黄岳の頂上へ、爆裂火口
跡をみに行きました。
硫黄岳は、なだらかな山でしたが、礫がご
ろごろころがっています。



「とうちゃん。これが、爆裂火口跡だよ」
「絶壁だね。下をみると、目がまわりそう
だね」
長者は、火口跡をみて驚きました。



「さあ、ふく。元気になったから、明日は
家へ帰ろう」
「とうちゃん。私は、この岩場にとどまるわ」
「なぜだい?」
「私、八ヶ岳の女神さまと約束したの」


   つづく