女神さまとの約束


  女神さまとの約束37


「とうちゃんは、元気でいるかしら」
「たきたてのあたたかなごはんが食べたい
な」
「大好きなりんごも食べたい」
「魚も食べたい」
そう思うと、ふくは家に帰りたくなってし
まいました。



秋になり、硫黄岳の木々も、赤や黄色に紅
葉しはじめました。
そんなある日。
「白駒、おねがい。私を家につれていって」
「ふくさん、女神さまとの約束を忘れたの
ですか。約束をやぶると、大変なことにな
りますよ」



「大変なことって?」
「女神さまとの約束をやぶると、ふくさん
の命はありません。
私は、女神さまとの約束をやぶった何人も
の人を知っています。だから、ふくさんに
は、女神さまとの約束を、ちゃんと守って
ほしいのです」


                 つづく