じいじとせみ


   じいじとせみ4


ぼうやは、じいじの顔を見て、にっこり笑
いました。
あどけないほほえみでした。
「ぼうやにせみをとってあげなくては…」
じいじは、思いついたように、急に立ちあ
がりました。



「もう少し休んでいけば良いのに」
ばあばはとめましたが、じいじは急いで家
に帰って行きました。
しかし、それが、じいじの元気な最後の姿
だったのです。



二時間後。
近所の人の電話で、ばあばは、じいじの入
院している病院へいそぎました。
家に帰ったじいじは、庭の木や花に水をか
けました。
ところが、急に心臓のぐあいが悪くなり、
たおれてしまったのです。


            つづく