時間がたつにつれ、おとうさんの体が、だ
んだんに冷たくなっていきました。
「とうちゃん、とうちゃん。目をあけて。
ねえ、とうちゃん、おきて…」
かなはおとうさんの体にしがみつき、体を
ゆすりました。
さっきまで元気でいたおとうさんが、急に
なくなってしまうなんて、かなには信じら
れませんでした。
「かな、おとうさんのそばで、少しお休み」
おかあさんにいわれ、かなはおとうさんの
そばで休みました。
かなはおとうさんの大きな手に、自分の手
をそっと重ねました。
すると、おとうさんとすごした六年間が、
なつかしく思い出されました。
おとうさんと沼へおにやんまや銀やんまを
とりにいったことや、庭できあげはや黒あ
げはをとったことが、まるで昨日のことの
ように、なつかしく思い出されました。
つづく
童話「朝顔のエスカレーター」は、
みほようこの三冊目の童話・「ふしぎな鈴」
に収録されています。
「ふしぎな鈴」は、2005年9月、
「鳥影社」から発行されました。
リーン・リーン・リーン…。
500年の時をへて、心やさしい小桜姫と
現代の少女を結ぶ、美しい鈴の音が聞こえる。
信州諏訪の「風の神様」が、そっと教えて
くれたお話。
ふしぎな鈴
http://www.geocities.jp/dowakan/douwasyuu3.html
http://www.bk1.jp/product/02593627
http://7andy.yahoo.co.jp/books/detail?accd=31593021