ふしぎな鈴「小桜姫とふしぎな鈴」


ふしぎな鈴「小桜姫とふしぎな鈴」10


年ごろになった姫は、はっとするほど美し
い娘になりました。
姿が美しいだけでなく、姫は心のやさしい
人でした。



姫が二十才になった春のことです。
「姫、義意はわしがほれた男じゃ。
この人なら、姫を幸せにしてくれるだろう。
姫、義意の所へとつぎなさい」
おとうさんは姫にいいました。



義意も姫をたいへん気に入ってくれました。
そして、姫は、荒井の城主・三浦義同の息
子・義意の所へ嫁ぎました。
その時、義意はニ十五才。
みるからにたくましい大柄な人でした。



大江家の一人娘が、なぜ三浦家へとついだの
かって、ふしぎに思うでしょうね。
おとうさんは姫にこどもが生まれたら、一人
大江家のあととりにするつもりだったようです。
しかし、仲の良い夫婦でしたが、何年たって
も、こどもは授かりませんでした。


        つづく



ふしぎな鈴」は、みほようこの三冊目の本。


リーン・リーン・リーン…。
500年の時をへて、心やさしい小桜姫と
現代の少女を結ぶ、美しい鈴の音が聞こえる。
信州諏訪の「風の神様」が、そっと教えて
くれたお話。



「ふしぎな鈴」は、2005年9月、
「鳥影社」から発行されました。
挿絵は、長野ひろかず先生。








http://www.bk1.jp/product/02593627