ふしぎな鈴「朝顔のエスカレーター」


ふしぎな鈴「朝顔エスカレーター」4


「黄金色の鳥は、あちらの国っていったけれ
ど、あちらの国ってどこにあるのかしら?」
かなは「あちらの国」ということばが、気に
なりました。



次の朝、かなは黄金色の鳥がとまっていた柱
時計の上を、そっとのぞいてみました。
黒い種が、一粒のっていました。
「何の種かしら」と思いながら、かなはその
種を白いふうとうに入れ、机の奥にしまって
おきました。



庭へでると、おとうさんが育てた朝顔の花が、
たくさん咲いていました。
白い花も紫の花も、ピンクの花も咲いていま
す。
「かな、みてごらん。朝顔の芽がでてきたよ。
かわいいだろ」
「かな、つるがのびてきたよ」



「ほら、みてごらん。つぼみが三つもついた
よ。もうすぐ花が咲くよ。楽しみだね」
朝顔の花をみていると、おとうさんの声が、
なつかしく思い出されました。


         つづく



ふしぎな鈴」は、みほようこの三冊目の本。


リーン・リーン・リーン…。
500年の時をへて、心やさしい小桜姫と
現代の少女を結ぶ、美しい鈴の音が聞こえる。
信州諏訪の「風の神様」が、そっと教えて
くれたお話。



「ふしぎな鈴」は、2005年9月、
「鳥影社」から発行されました。
挿絵は、長野ひろかず先生。








http://www.bk1.jp/product/02593627