ふしぎな鈴「校長先生と桜の鈴」


ふしぎな鈴「校長先生と桜の鈴」4


大きなおやしき…
たくさんの木が植えてある広い庭…
庭へやってくるいろいろな小鳥…
そして庭で遊んでいるかわいい女の子。
遠い昔のことが、少しずつ少しずつ校長先
生の頭の中によみがえってきたのです。



みごとに咲いた桜の花の下で、「この鈴を
大切にするのだよ」といって、娘に鈴をわ
たしている光景が浮かんできたのです。
それだけではありません。
娘とすごした鎌倉の様子が、走馬灯のよう
に頭の中にうかんできたのです。



「おとうさま、おとうさまー」とよぶ娘の
声まで、校長先生ははっきりと思い出しま
した。
「やはり、かなは私の娘だったのだ」
校長先生はそう確信しました。



「しかし、かなはまだ幼い。遠い昔のこと
を話したところで、どうなるものでもない。
かなもいつか私のことを知るだろう。
その日がくるまで、そっとしておこう」
校長先生はそう心に決めました。


           つづく



ふしぎな鈴」は、みほようこの三冊目の本。


リーン・リーン・リーン…。
500年の時をへて、心やさしい小桜姫と
現代の少女を結ぶ、美しい鈴の音が聞こえる。
信州諏訪の「風の神様」が、そっと教えて
くれたお話。



「ふしぎな鈴」は、2005年9月、
「鳥影社」から発行されました。
挿絵は、長野ひろかず先生。











「校長先生と桜の鈴」の章の挿絵 (裏表紙)





http://www.bk1.jp/product/02593627