かきつばたになった少女


  かきつばたになった少女14


そんなある日。
「今日こそ、山彦さんに会えますよう
に」
かきつばたは祈るような気持で、山彦
と会った沼のほとりで、山彦がやって
くるのをじっと待っていました。



すると・・・。
草原のむこうから、山彦が走ってくる
ではありませんか。
「やっと、山彦さんに会うことができ
た」
かきつばたは、どきどきしながら、山
彦が近づいてくるのを待ちました。



「山彦さん、こんにちは。今日こそ、
山彦さんに会えるかなと思って、朝か
らずっと待っていたのよ」
かきつばたは、はずかしそうにいいま
した。


           つづく


信州の霧ケ峰高原には、「かきつばた」
という伝説があります。



「かきつばたになった少女」は、「か
きつばた」の伝説をヒントにして、
みほようこが書いた物語。



童話「かきつばたになった少女」は、
みほようこの四冊目の童話集「ライオン
めざめる」に収録されています。