かきつばたになった少女21
すると・・・。
「山彦さん、こんにちは。ひさしぶりね。
私、この紫の花に生まれ変わったの。
山彦さん、この花はなんという花か知
っている? かきつばたというのよ。
きれいな花でしょ。山彦さん、毎年こ
の花が咲くころ、ここで会いましょう
ね」
どこからか、かきつばたのやさしい声
が聞こえてきました。
山彦は、かきつばたの花が咲くころ、
八島の湿原へかきつばたに会いに行き
ます。
そして、一日中かきつばたといっしょ
にすごすのでした。
かきつばたがなくなってから、ニ千年
の月日がすぎました。
夏になると、八島の湿原には、何百本
ものかきつばたの花が咲きます。
つづく
信州の霧ケ峰高原には、「かきつばた」
という伝説があります。
童話「かきつばたになった少女」は、
「かきつばた」の伝説をヒントにして
みほようこが書いた物語。
童話「かきつばたになった少女」は、
みほようこの四冊目の童話集「ライオン
めざめる」に収録されています。