きよと清太と、そして白駒


  きよと清太と、そして白駒11


かあちゃんが生きていたら、どんな
にいいだろう」
母のいないきよは、いつか清太のおか
あさんに会ってみたいと思いました。



「清太さんのおかあさんは、いつも家
にいるの?」
かあちゃんは、週に一度か二度、近
くの長者の家へお手伝いに行っている
よ」
「長者の家って?」
「守屋山のふもとにある長者の家だよ」



「その家なら、私知っているわ。あそ
このおじさんと、とうちゃんは友だち
なの」
「そうだってね。おらを、長者の家へ
世話をしてくれたのは、あの長者さん
なんだ。
佐久の長者はいいかただから、あそこ
へ行って、いろいろ勉強しておいでと
いわれたよ」



「そんな縁で、清太さんはわが家にきて
くれたのね。清太さん。あの家に、ふく
ちゃんという女の子がいたでしょ?」
「いたよ。ふくちゃんは、とてもかわい
い少女だった。ふくちゃんは、かあちゃ
んの乳で育ったんだよ」


             つづく



信州の佐久地方には、「白駒の池」と
いう悲しい伝説があります。


「きよと清太と、そして白駒」は、そ
の伝説をヒントにして、みほようこ
書いた物語。



登場人物


・きよ  長者の一人娘

・清太  長者の家で働いている少年

・白駒 長者の家の馬