きよと清太と、そして白駒


 きよと清太と、そして白駒12


「えっ、ほんと? じゃあ、二人は、
兄妹のように育ったのね」
「うん。おらたちは、実の兄と妹のよ
うに育った。でも、ふくちゃんは、八
才の時になくなってしまった」



「その話、とうちゃんから聞いたこと
がある。
ふくちゃんは、守屋山へ福寿草の花を
とりに行って、なくなったんでしょ」



「そうなんだ。ふくちゃんは、みんな
が留守の間に、一人で守屋山へ福寿草
の花をとりにいった。
そして、道にまよってしまったんだ。
運悪く、その日雪が降ってね、ふくち
ゃんは凍死してしまった」
「かわいそうなふくちゃん・・・」



「たった一人のこどもをなくした長者
と奥さまは、気の毒なほどがっかりし
ていた。
かあちゃんも、しばらく元気がなかっ
た。おらもつらかった」
清太は、ふくのことを思い出し、涙が
でそうになりました。


             つづく



信州の佐久地方には、「白駒の池」と
いう悲しい伝説があります。


「きよと清太と、そして白駒」は、そ
の伝説をヒントにして、みほようこ
書いた物語。



登場人物


・きよ  長者の一人娘

・清太  長者の家で働いている少年

・白駒 長者の家の馬