きよと清太と、そして白駒


  きよと清太と、そして白駒20


「ねえ、とうちゃん。清太さんと一
緒に、ゆうすげの花をみに行っても
いいでしょ?」
きよは、ふたたび長者に聞きました。



「まあ・・・清太なら・・・心配ないだろう。
きよ。気をつけて、行っておいで」
「とうちゃん。ありがとう」
「きよ。ゆうすげの花は、レモン色
の美しい花だよ。二人で、ゆっくり
ゆうすげの花をみておいで」



長者の許可をもらった二人は、明る
いうちに霧ケ峰高原へむかいました。
もちろん、白駒も一緒です。
いそいそとでかけていくきよと清太。
そんな二人の後姿をみて、長者は幸
せな気分になりました。



途中の高原には、あざみややなぎらん
などの花が咲いていました。
車山では、黄橙色の日光きすげの花が
満開でした。
山の肩だけでなく、山のすそのほうま
で、一面に日光きすげの花が咲いてい
ます。



数千本、いや数万本・・・。もっとた
くさんの花が咲いているかもしれません。
車山全体が、黄橙色にそまっています。


            つづく



信州の佐久地方には、「白駒の池」と
いう悲しい伝説があります。


「きよと清太と、そして白駒」は、そ
の伝説をヒントにして、みほようこ
書いた物語。



登場人物


・きよ  長者の一人娘

・清太  長者の家で働いている少年

・白駒  長者の家の馬