きよと清太と、そして白駒


  きよと清太と、そして白駒21


「わぁー、きれい!」
きよと清太は、思わず声をあげました。
「私、こんなにたくさんの日光きすげ
をみたのは、初めて。
今年の花は、みごとね」
「おらも、初めて。まるで黄橙色の山
みたいだね」
二人は、白駒の背からおり、日光きす
げが咲いている高原を歩きました。



「きよちゃん。白駒のことを、聞いて
もいい?」
「いいわ。清太さん。改まって、何?」
「白駒って、何才になるの?」
「白駒は、私が七才の時、わが家へき
たわ。だから、十一才かな」



「白駒は、どこからきたの?」
「それがね・・・白駒は、どこからき
たか、わからないの」
「きよちゃん。わからないって、どう
いうこと?」
清太は、思わず聞きかえしました。


              つづく



信州の佐久地方には、「白駒の池」と
いう悲しい伝説があります。


「きよと清太と、そして白駒」は、そ
の伝説をヒントにして、みほようこ
書いた物語。



登場人物


・きよ  長者の一人娘

・清太  長者の家で働いている少年

・白駒  長者の家の馬