きよと清太と、そして白駒


  きよと清太と、そして白駒25


「その後も、白駒は、何度か馬小屋に
いない時があった。
朝にはちゃんともどってきていたので、
今までだれにも話したことはないのだ
が・・・」
「そんなことがあったのね。私、何も
知らなかったわ」



「おらは、長者の家へきた時から、白
駒ってふしぎな馬だなと思っていた」
清太は、長い間気にしていたことをき
よに話し、気持が楽になりました。



「白駒。あなたは、夜中にどこへ行っ
ているの?」
きよは、白駒に聞きました。
しかし、白駒は、遠くの山をじっとみ
ているだけでした。



「清太さん。ぼつぼつ、ゆうすげの花
が咲いている場所へ移動しない?」
「じゃあ、出発しようか」
「ゆうすげの花が咲いていた場所を、
ちゃんとおぼえている?」
「ああ、おぼえているよ。美しい花だ
ったから、よくおぼえている」
二人は、白駒の背にのり、ゆうすげの
花が咲いていた場所へ走っていきました。


              つづく



信州の佐久地方には、「白駒の池」と
いう悲しい伝説があります。


「きよと清太と、そして白駒」は、そ
の伝説をヒントにして、みほようこ
書いた物語。