きよと清太と、そして白駒


 きよと清太と、そして白駒26


「きよちゃん、ここだよ」
「あら?」
「きよちゃん。何?」
「まだつぼみがかたいのね。清太さん。
今夜、花が咲くかしら?」
きよが、心配そうにいいました。



「だいじょうぶ。きっと花が咲くよ」
清太は、そう答えました。
でも、「ほんとに花が咲くだろうか」と、
清太は心配でした。
「どうか、今夜花が咲きますように」
清太は、心の中で神様にお願いしました。



「ゆうすげって、日光きすげのように、
群落にはならないのかしら」
「そういえば、あっちに一本、こっち
に一本という感じだね。
じゃあ、ここで暗くなるのを待とう」
「清太さん。ちょっと早いけれど、む
すびを食べない?」
二人は、むきあってすわりました。


              つづく



信州の佐久地方には、「白駒の池」と
いう悲しい伝説があります。


「きよと清太と、そして白駒」は、そ
の伝説をヒントにして、みほようこ
書いた物語。