きよと清太と、そして白駒40
「おらに、聞きたいことって、何だろ
う?」
清太は、長者の部屋へいそぎました。
「長者さま。何かご用でしょうか」
「清太。そこへおすわり」
「はい」
清太は、何をいわれるのだろうかと、
緊張しました。
「清太。清太は・・・娘のきよのことを・・・
どう思う?」
「おじょうさまですか。おじょうさまは
美しいし、やさしいし、すてきなかた
だと思いますが」
「いや・・・清太・・・そういうことを聞
いているのではなくて、つまり・・・その
・・・清太は・・・きよのことが・・・好き
かどかと聞いているのだ」
長者は、どう聞いたらよいのかわから
ず、口ごもってしまいました。
つづく
信州の佐久地方には、「白駒の池」と
いう美しい湖があります。
その湖には、「白駒の池」という悲し
い伝説があります。
「きよと清太と、そして白駒」は、そ
の伝説をヒントにして、みほようこが
書いた物語。