きよと清太と、そして白駒


  きよと清太と、そして白駒41


「おじょうさまのことなど、おらは何
とも思っていません」、清太がそうい
ってくれるのを、長者はひそかに期待
していたのです。



ところが・・・。
「おら・・・いや私は、おじょうさま
のことが大好きです。
この家にお世話になった時から、私は
おじょうさまのことが好きでした」
清太は、長者の目をみて、きっぱりい
いました。



「なに? きよのことが大好きだ・・・と」
長者は、びっくりしました。
その時、清太には、「おまえは、とん
でもないやつだ! おまえは、この家
の使用人なんだぞ」という長者の心の
声が、聞こえました。



しかし、清太は、きっぱりいいました。
「はい。私は、おじょうさまのことが
大好きです」と。
「清太。お、おまえは、この家の使用
人だということを忘れたのか!!」
長者は、強い口調でいいました。


             つづく



信州の佐久地方には、「白駒の池」と
いう美しい湖があります。
その湖には、「白駒の池」という悲し
い伝説があります。



「きよと清太と、そして白駒」は、そ
の伝説をヒントにして、みほようこ
書いた物語。