きよと清太と、そして白駒


  きよと清太と、そして白駒43


「でも・・・おら・・・私の家は、貧
しい。食べていくのが精一杯です。
それに、家柄がちがいすぎます。
だから、どんなにおじょうさまが好き
でも、おじょうさまと結婚させてくだ
さいとはいえません。
・・・いや、いってはいけないと思います」
清太は、自分にいいきかせるように、
静かにいいました。



どのくらいの時間がすぎたのでしょうか。
清太にも、長者にも、長い時間がすぎた
ように感じました。
「清太。おまえは、何もかもわかってい
るのだね。清太の家が、わが家と同じく
らいの家柄だったら、どんなに良いだろ
う。私はずっとそう思っていたのだよ」



長者は、おちつきをとりもどし、静かに
話しはじめました。
「清太。大きな声をだしてごめん。つい
こうふんしてしまって・・・。ほんとうにも
うしわけない」
長者は、心から清太にあやまりました。


             つづく



信州の佐久地方には、「白駒の池」と
いう美しい湖があります。
その湖には、「白駒の池」という悲し
い伝説があります。



「きよと清太と、そして白駒」は、そ
の伝説をヒントにして、みほようこ
書いた物語。