きよと清太と、そして白駒


  きよと清太と、そして白駒48


その日、清太は、いつもより念入りに、
馬小屋の掃除をしました。
そして、馬たちを小川へつれていき、
ていねいに馬の体を洗いました。
どの馬も、みちがえるようにきれいに
なりました。



「今日で、お別れだね。今までありが
とう。元気でくらすのだよ」
清太は、馬たちに声をかけました。
清太は、どの馬も好きでした。
でも、白駒は、特別な馬でした。



白駒は、きよとの思い出につながる大
切な馬だったからです。
白駒の背にきよをのせて走ることは、
もうないのだなと思うと、清太はさみ
しく思いました。



「白駒。たくさんの思い出をありがと
う。元気でくらすのだよ」
白駒は、何かを感じたらしく、清太に
すりよってきてあまえました。
その夜、清太は、きよのことを考える
と、なかなかねつくことができません
でした。


              つづく



信州の佐久地方には、「白駒の池」と
いう美しい湖があります。
その湖には、「白駒の池」という悲し
い伝説があります。



「きよと清太と、そして白駒」は、そ
の伝説をヒントにして、みほようこ
書いた物語。