きよと清太と、そして白駒


  きよと清太と、そして白駒63


「いや・・・清太は、何もしない。
ただ・・・清太が・・・きよを・・・大好きだと
いったからだ。
結婚することができない若い二人が、
同じ屋根の下で暮らすわけにはいかな
いからね」



きよは、そんなことではないかと心配
していたのです。
「とうちゃん。清太さんは、今どこに
いるの。諏訪の家へ帰ったの」
「清太は、家にはもどっていないそう
だ。どこへ行ってしまったのだろうね」



「とうちゃんって、ほんとにひどい人ね。
とうちゃんのこと、信じていたのに。
清太さんがかわいそう・・・」
そういうと、きよは、自分の部屋へとじ
こもってしまいました。
そして、それっきり部屋からでてきませ
んでした。



きよは、届ける食事にも手をつけていな
いようでした。
そんなきよの姿をみて、長者は自分がし
たことを心から後悔しました。
「清太。どうか無事でいておくれ」
長者は、心の中で清太の無事を祈りまし
た。


              つづく



信州の佐久地方には、「白駒の池」と
いう美しい湖があります。
その湖には、「白駒の池」という伝説
があります。



「きよと清太と、そして白駒」は、そ
の伝説をヒントにして、みほようこ
書いた物語。