きよと清太と、そして白駒


  きよと清太と、そして白駒75


「じゃあ、清太さんは、もうこの世に
はいないのですね」
「清太は、もうこの世にはいません。
私たちの国で、心静かに暮らしています。
あなたと暮らした八年間は、とても楽
しかったといっていましたよ」



「女神さま。どうか私を清太さんが住
んでいる国へつれていってください」
きよは、女神さまにお願いしました。
「きよ。あなたを、私たちの国へつれ
ていくことはできません」
「なぜですか?」



「あなたには、この世でしなくてはな
らないことがたくさん残っています。
あなたは、使命がまだ終わっていません。
すべての使命を終えるまで、私たちの
国へもどってくることはできません。
清太にも、会わせることはできません」


              つづく



信州の佐久地方には、「白駒の池」と
いう美しい湖があります。
その湖には、「白駒の池」という悲し
い伝説があります。



「きよと清太と、そして白駒」は、そ
の伝説をヒントにして、みほようこ
書いた物語。