きよと清太と、そして白駒


  きよと清太と、そして白駒78


「きよさん。つきましたよ」
「わぁー、きれい!! 美しい湖ね。
紅葉もすてきね」
「きよさん。今の季節が、一番美しい
ですよ」
「白駒。清太さんの姿がみえる場所は、
どこなの?」



「ここですよ。ここにすわって、心を
静めてください。
じっと湖をながめていると、湖面に清
太さんの姿がみえますよ」
白駒が、教えてくれました。



でも、清太の姿はみえません。
「白駒。清太さんの姿がみえないわ。
なぜかしら」
きよは、一分でも早く清太の姿をみた
いと思いました。



「きよさん。心を空っぽにしないと、
いつまでたっても清太さんの姿はみえ
ませんよ」
白駒がいいました。
きよは、「早く清太さんに会えますよ
うに」と、心の中で祈りました。


           つづく



信州の佐久地方には、「白駒の池」と
いう美しい湖があります。
その湖には、「白駒の池」という悲し
い伝説があります。



「きよと清太と、そして白駒」は、そ
の伝説をヒントにして、みほようこ
書いた物語。