火とぼし山


   火とぼし山12


「若いから、平気よ。じゃあ、帰
るわ。次郎さん。今度はいつ会え
るの」
「十日後、会おう」
「十日後なんて、いや。私、毎晩
でも次郎さんに会いたい。
だって、引っ越しをする前は、毎
日次郎さんと会っていたんだもの」
きよが、さみしそうにいいました。



「じゃあ、五日後に会おう。きよち
ゃん。会えるのを楽しみにしているよ」
きよは、心ひかれる思いで家に帰り
ました。



その後。
二人は、月に何度か会いました。



第三章 湖の氷の上を歩く娘



北風が吹く寒い季節になりました。
諏訪湖には、氷がはっています。


             つづく



「おみわたり」で有名な信州の諏訪
湖には、「火とぼし山」という悲し
い伝説があります。



「火とぼし山」は、その伝説をヒント
にして、みほようこが書いた物語。