火とぼし山


   火とぼし山18


「大好きな青年に、会うためじゃ。
湖の氷の上を歩けば、短時間で青
年の所へ行ける。
娘が毎晩会いに行くとは思わない
が、娘をみはっていてほしい。
手長と足長に頼んでおけば、安心
じゃからのぅ」



「明神さま。その娘は、どこに住
んでいるのですか」
「どこに住んでいるか、わしも知
らん。今夜会ったばかりだから。
でも、湖の東側に住んでいること
だけはたしかじゃ。
名前は、きよというらしい」



「じゃあ、早速調べてみましょう」
「手長、足長。娘のこと、たのん
だぞ」
明神さまは、手長と足長に、娘の
ことをお願いしました。


           つづく



「おみわたり」で有名な信州の諏訪
湖には、「火とぼし山」という悲し
い伝説があります。



「火とぼし山」は、その伝説をヒント
にして、みほようこが書いた物語。