火とぼし山67
「きよ」
「きよ」
二人は、何度もきよの名をよびま
した。
でも、きよの意識はもどりません。
「明神さま。今、きよを助けまし
た。しかし、意識がもどりません。
どうしたらよいでしょうか」
「きよを、わしのやしきへ運んで
くれ」
「はい、わかりました」
手長と足長は、明神さまのやしき
へ、きよを運んでいきました。
「手長、足長。ご苦労さま。
きよを助けてくれてありがとう」
明神さまは、二人に何度も礼を
いいました。
つづく
「おみわたり」で有名な信州の諏訪
湖には、「火とぼし山」という悲し
い伝説があります。
「火とぼし山」は、その伝説をヒント
にして、みほようこが書いた物語。