火とぼし山


   火とぼし山71


「そんな・・・」
そういったまま、きよはだまって
しまいました。
いくら明神さまが話しかけても、
きよは何も答えません。



「明神さま。きよは、だいじょう
ぶでしょうか」
手長が心配して聞きました。
「だいじょうぶじゃ。三日もすれ
ば、意識がもどるだろう」



「意識がもどれば、おぼれた時の
ことを思い出すのでしょうか」
「さあ、それはわからん。ちゃん
と記憶がもどるといいのだが」
明神さまが、心配していいました。


             つづく



「おみわたり」で有名な信州の諏訪
湖には、「火とぼし山」という悲し
い伝説があります。



「火とぼし山」は、その伝説をヒント
にして、みほようこが書いた物語。