鹿になった観音さま


   鹿になった観音さま10


「三郎さ。これは、観音さまでは
ないか。どうしたのじゃ」
「はい、和尚さま。裏山へ行った
ら、大きな黄金色の鹿が、突然わ
しにおそいかかってきました」



「何? 黄金色の鹿だと。この世
に、そんな鹿がいるのか」
「いません。多分いないと思います。
わしも、初めてみました。
その鹿は、美しい黄金色の鹿でした。



しかも、びっくりするような大き
な鹿。その鹿が、突然わしにおそ
いかかってきたのです。
わしは、その鹿を、弓でいとめま
した」
「三郎さ、そのいとめた鹿は、ど
うしたのじゃ」
「和尚さま。その鹿は・・・」



             つづく



信州の伊那谷に、「立石寺」という
寺があります。


「鹿になった観音さま」は、立石寺
に伝わっている話をヒントにして、
みほようこが書いた物語。



  初めて読んでくださったかたへ

 
   鹿になった観音さま1


http://d.hatena.ne.jp/dowakan/20080606#p1



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