鹿になった観音さま


   鹿になった観音さま15


すると、和尚がいいました。
「三郎さは、あけてもくれても、
鹿狩りをしている。
いいかげんに、殺生をやめたらど
うかと、観音さまがいっているの
かもしれんぞ。



鹿は、神様や仏さまのおつかいを
している動物じゃ。
三郎さは、鹿狩りの名人。観音さ
まは、おつかいをしてくれる鹿が
いなくなってしまうのではないか
と、心配したのかもしれんぞ。



実は、わしも、三郎さに殺生をし
ないようにと忠告しようと思って
いたところじゃ」
「鹿は、神様や仏様のおつかいを
している動物なのですね。
知りませんでした」
和尚のことばを聞き、三郎ははっ
としました。


            つづく



信州の伊那谷に、「立石寺」という
寺があります。


「鹿になった観音さま」は、立石寺
に伝わっている話をヒントにして、
みほようこが書いた物語。



  初めて読んでくださったかたへ

 
   鹿になった観音さま1


http://d.hatena.ne.jp/dowakan/20080606#p1



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