鹿になった観音さま

　　　鹿になった観音さま１７

「さあ、三郎さ。石になってしま
ったタケルとチハヤを、裏山へ迎
えにいこう」
和尚と三郎は、裏山へいそぎました。
「三郎さ。タケルとチハヤは、ど
こじゃ」

「和尚さま、ここです」
大きな杉の木の根元に、犬の形を
した二つの石がころがっていました。
「タケル、チハヤ。なぜ石になっ
てしまったのじゃ」
和尚は、石になってしまったタケル
とチハヤを、何度もなでました。

そして、二匹の犬にお経をあげま
した。
二人は、石になった犬たちをつれ
て、寺へ帰りました。

　　　　　　　　　　　　　つづく

信州の伊那谷に、「立石寺」という
寺があります。

「鹿になった観音さま」は、立石寺
に伝わっている話をヒントにして、
みほようこが書いた物語。

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　　　鹿になった観音さま１

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