そして、あちらにひとつ、こちら
にひとつと、花が咲き出しました。
赤い花も白い花もあります。紫の
花も、ピンクの花も咲き出しました。
何千何万という花が、色とりどり
にぱっと音がして開いていきます。
色あざやかな竜が、空に向かって
かけのぼっていくような、そんな
感じでした。
かなはぽかーんとして、たくさん
の朝顔の花を見ていました。
「かなさん、私の体にしっかりつ
かまりなさい。これから良い所へ
案内しますから」
どこからか、また声が聞こえてき
ました。
かなはおそるおそる朝顔のつるに
つかまりました。
つづく
童話「朝顔のエスカレーター」は、
みほようこの三冊目の童話・
「ふしぎな鈴」に収録されています。
「ふしぎな鈴」は、2005年9月、
「鳥影社」から発行されました。