井戸で鳴く黄金色のにわとり


   井戸で鳴く黄金色のにわとり5


その日も、姫は大蛇ケ淵がみえる場
所へ行きました。
にわとりも一緒です。
「こっこ、おいでー」
にわとりは、「こっこっこ」と鳴
きながら、姫の後をついてきます。



「私は、短歌をよみ、絵を描いて
いるおとうさまが、大好き。
でも、戦に行くおとうさまは嫌い。
おとうさまたちは、なぜ戦をする
のだろう。



戦国の世だから、敵がせめてくる
こともある。一族や城下の人々を
守るために、敵と戦うのはしかた
がない。
でも・・・領地を広げるために、
ほかの諸国と戦をしているおとう
さまたちをみているのはつらい。



戦のない平和な世の中は、いつく
るのだろうか」
姫は、淵にむかってつぶやきました。


             つづく



「井戸で鳴く黄金色のにわとり」は、
信州の伊那谷にあった「大島城」に
伝わっている話をヒントにして、
みほようこが書いた物語。