井戸で鳴く黄金色のにわとり12
「城に火がついたぞー。すぐ火を
消せー」
信廉が、大声でさけびました。
「わぁーっ」
「きゃー」
女の人の悲鳴が聞こえます。
一箇所火を消しても、すぐまた別
の所から火の手があがりました。
城のあちこちが、すごい勢いで燃
えはじめました。
城の中は、もうもうと煙がたちこ
めています。
「姫さま。さあ早く、あっちへ逃
げましょう」
姫はにわとりをだいて、おつきの
人と一緒に、安全な場所をさがし
逃げました。
「く、く、くっ」
にわとりが苦しそうに鳴いています。
つづく
「井戸で鳴く黄金色のにわとり」は、
信州の伊那谷にあった「大島城」に
伝わっている話をヒントにして、
みほようこが書いた物語。