井戸で鳴く黄金色のにわとり15
「淵に何かいる。みなのもの、ま
ず淵にいるものを退治せよ。
城は、それからだ」
信忠は、兵士たちにつげました。
「えいっ」
「えいーっ」
「えいっ」
どしゃぶりの雨の中、兵士たちは
淵にむかって、何本も矢をはなち
ました。
しかし、兵士たちの矢は、淵に届
かぬうちに、なぜか雨の中にすい
こまれてしまいました。
五分後。
「ぶすっ」
淵から、にぶい音が聞こえてきま
した。
兵士たちの打った矢があたったの
でしょうか。
つづく
「井戸で鳴く黄金色のにわとり」は、
信州の伊那谷にあった「大島城」に
伝わっている話をヒントにして、
みほようこが書いた物語。