井戸で鳴く黄金色のにわとり


 井戸で鳴く黄金色のにわとり19


「きゃぁー」
「助けてー」
城内にいた人々は、安全な場所を
さがし逃げまわりました。
姫も、にわとりを胸にだき、城の
中をあちこち逃げまわりました。
どこへ逃げても、城の中は火の海
でした。



「く、くっ、く」
にわとりが、苦しそうに鳴いてい
ます。
「こっこ。がんばってね」
姫は、にわとりをはげましました。



夜になりました。
「みなのもの、これ以上城にいても
無駄じゃ。これから、みんなで故郷
の甲斐へもどる。
みなのもの、旅の用意をせいー」
信廉が、城内にいる人々につげました。


            つづく



「井戸で鳴く黄金色のにわとり」は、
信州の伊那谷にあった「大島城」に
伝わっている話をヒントにして、
みほようこが書いた物語。