赤い夕顔の花が咲いた


    赤い夕顔の花が咲いた14


「お万。道中気をつけて行くのじゃ
よ。かならず迎えにいくから」
「長五郎。母のいうことをよく聞く
くのだよ」
盛永は、長五郎の頭をやさしくな
でました。



「さあ、お万。この野良着に着が
え、急いで城をでなさい」
盛永が、お万をせかしました。
お万と長五郎は、うすよごれた野
良着を着て、家来とともに城を出
ました。



五分後。
「ぱか、ぱかっ、ぱか」
下条軍のひづめの音が聞こえてき
ました。
「ひひーん」
「ひひーん」
馬の鳴き声も聞こえます。


             つづく



「赤い夕顔の花」は、信州の最南
端にあった「権現城」に伝わって
いる話をヒントにして、みほようこ
が書いたもの。